「映画制作のためにお金が必要で、土地を売って返済する」と嘘をつき、2019年4月に70代の女性から約1000万円を騙し取ったとされるのは、元宝塚歌劇団月組のトップスターでした。
5月22日、警視庁は詐欺容疑で78歳の小倉輝美容疑者を逮捕しました。
小倉容疑者は詐取した資金を生活費や活動費に使ったと見られ、「お金は返すつもりだった」と供述しています。
現在も「光原エミカ」の名で活動を続けており、被害者の女性は小倉容疑者のファンの一人でした。
警視庁は他の被害者の存在についても調査を進めています。
大滝子（光原エミカ）の元宝塚トップスターとしての輝かしい経歴と転落
小倉容疑者は、1970年代に「大滝子」の芸名で宝塚の月組トップスターとして活動していました。
1963年に宝塚音楽学校を首席で卒業し、小柄な男役として苦労しながらも、1974年に初演された『ベルサイユのばら』のフェルゼン役で注目を浴びました。
この演目は宝塚史上最大のヒット作となり、再演を繰り返しました。
2015年には『水曜日のダウンタウン』の「『ざます』をマジで使っている金持ちなどいない説」に出演し話題になりました。
1976年に宝塚を退団後、女優や歌手として活動を続けましたが、1992年に1億3000万円をめぐる東京佐川急便との裁判で敗訴しました。
同社元社長の渡辺広康さんがディナーショー運営で、赤字に困っていた小倉容疑者に1億3000万円を渡したのですが、後日返済を求める裁判で、小倉容疑者は敗訴し、多額の借金を背負いました。
このトラブルが、宝塚での功績に対して退団後の活動が伸び悩んだ大きな要因とされています。
それでも小倉容疑者は毎年ディナーショーを開催し、70代とは思えない力強い歌声で観客を感動させ続けました。
ディナーショーのチケットは5万円から2022年には8万円に値上がりし、オンライン視聴チケットも1万円と高額でしたが、チャリティ活動として売上の一部を寄付するための値上げだと説明しています。
小倉輝美容疑者が演じたベルサイユのばらのあらすじ（フェルゼン編）
池田理代子が描いた「ベルサイユのばら」は、フランス革命を描いた物語。
フランスはルイ１６世の時代、オーストリアから国交のため、マリーアントワネットは好きでもないルイ16世のところに嫁がされる。
ルイ１６世は、錠前づくりが趣味で、マリーアントワネットに興味を示さない。
政略結婚をさせられ、異国で孤独を感じたアントワネットは、ある日仮面舞踏会でスエーデンの貴族のフェルゼンと出会い恋に落ちる。
市民たちの貧しさをよそに、王室は贅沢の限りを尽くし、市民たちが立ち上がり、暴動が起きる。
フランス革命だ。
市民の苦しみをよそに贅沢をつくしたアントワネットが異国の人と不倫をしていることもバレると、市民たちの怒りは最高潮となり、フェルゼンはスエーデンに帰るように言われ一旦帰る。
宮殿に市民たちが乗り込み、アントワネットは幽閉され、ギロチンの刑を受けることになる。
居ても立っても居られないフェルゼンは、王妃を助けにまたフランスに戻り、アントワネットがいる刑務所に入り込み助けに行くが、その時すでにアントワネットの心は決まっていた。
フランスの王妃として最後を迎える覚悟をし、死刑を受け入れる決意をフェルゼンに告げ、悲しい別れをする。
フェルゼンは最後に、生涯あなたを忘れることはない。ベルサイユに咲くバラのように、私の心の中に一生美しく咲き続けると・・
小倉輝美は大役を務めたスターへ憧れたファンの心を踏みにじった
「ベルサイユのばら」は、宝塚歌劇団の演目の中でも、熱狂的ファンが多いロマンティックなストーリーです。
その演目で、大役を演じたスターは、特にベルサイユのばらがスタートした頃は漫画としても大ヒットだったので、その世代の人は、ストーリーにもスターにも熱狂的な思いを持つ人が少なくなかったはずだ。
そんなファンの心を踏みにじった形となりました。
古谷徹と同じタイミングで、ファンの心を踏みにじった罪は重い
コナンの声優の古谷徹さんが、不倫や暴力でファンを傷つけたことは一生償うと謝罪をしました。
タイミングが全く重なりましたが、ファンの心を踏みにじった罪は、古谷徹が言うように生涯かけて誠心誠意償っていかなければならないものに違いない。
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