2026年11月1日から、訪日外国人旅行者向けの消費税免税制度が「リファンド方式」に全面変更されました。従来のように店頭で税抜価格(免税価格)で買うことはできず、一度消費税込みの価格で支払い、出国時に税関の確認を受けてから消費税分が返金される仕組みになります。
背景には、免税購入品を国内で転売する悪用が後を絶たなかったことがあります。この記事では、新制度の基本的な仕組みから、旅行者と店舗それぞれの手続き・注意点、よくある疑問までを公式情報に基づいて解説します。
H2-1. 免税「リファンド方式」とは?旧制度との違い
旧制度(〜2026年10月)との違いを比較表で解説
| 項目 | 旧制度(〜2026年10月購入分) | 新制度(2026年11月1日購入分〜) |
|---|---|---|
| 購入時の支払い | 税抜価格(免税)で購入 | 税込価格で支払い |
| 消費税の還付 | 購入時に減免 | 出国時に税関確認後、後日返金 |
| 消耗品の特殊包装 | 必要(袋で封緘) | 廃止 |
| 消耗品の購入上限 | 50万円 | 上限撤廃 |
| 出国期限 | 特になし(制度上) | 購入日から90日以内の出国 |
新制度では、免税店で手続きをした対象物品について、出国時に持ち出しが確認された時点で免税販売が成立します 。店頭では減免がなく、出国が確認されて初めて消費税分が返金される「先払い・後返金」の構造です。
制度が変わった理由は「転売対策」
免税購入品の国内での横流し・転売が問題化していたため、財務省は「課税で販売し、事後的に消費税相当額を返金する」方式に見直したとしています 。出国の事実と紐づけることで、国内消費用の購入には免税が使えない構造にしました。
免税の対象者と条件
- 対象者:出国する外国人旅行者等(免税購入対象者)。Visit Japan Webを使ったオンライン手続は、在留資格が「短期滞在」「外交」「公用」の者に限られ、日本人は利用できません
- 対象金額:同一店舗で1日に税抜5,000円以上の購入
- 対象物品:出国時に海外へ持ち出すもの。金・白金の地金や、消費税がもともと非課税の物品(電気代・医療費など)は対象外
- 数量制限:出国時に自ら所持して持ち出せる数量まで
H2-2. 旅行者の新手続きフローを図解
購入時:店頭では税込価格で支払う
免税店では表示どおり税込価格を支払います。店舗スタッフがパスポートを確認し、購入記録を登録します。返金先(クレジットカードなど)の登録は、旅行者が専用サイトから自分で行うか、購入時に店舗が代理登録する方式が代表的です(返金方法の詳細は免税店ごとに異なるため、店頭で確認してください)。
出国時:空港の端末でパスポートを提示する
返金を受けるには、購入日から90日以内の出国時に、空港・海港に設置された免税手続用端末(キオスク端末)にパスポートを提示して税関確認を受けます 。手順は次のとおりです。
- パスポート提示 → 端末に税関検査の要否判定が表示される
- グリーン判定(検査不要) → そのまま手続完了。確認後に返金処理が進む
- レッド判定(検査必要) → 税関検査場所で、購入した物品の持出し確認を受ける
成田・羽田・関西・中部・福岡・新千歳・那覇の各空港では、Visit Japan Webを使ったオンライン手続も可能です(前述の在留資格の条件あり)。
返金はいつ・どうやって受け取る?
基本的には、空海港での税関確認により免税販売が成立した後に、免税店などから登録済みの返金先へ返金されます 。返金のタイミングや方法は店舗・返金事業者ごとに異なるため、購入時に必ず案内を確認してください。
H2-3. 旅行者が絶対に知っておくべき5つの注意点
① 手荷物を預ける前に税関手続を済ませる
端末でパスポートを提示する際、購入した免税対象物品をすべて所持している必要があります。手荷物を機内預けした後では手続できず、預けた荷物を引き戻すこともできません 。
② 1つでも所持していないと、レシート単位で全部NG
税関確認はレシート単位で行われます。そのレシートに含まれる物品を1つでも所持していない場合、他の物品も含めてすべて返金不可になります。
③ 国内で消費したら返金されない
飲食料品や化粧品等の消耗品は、出国前に国内で消費・使用した場合、税関確認(返金)を受けることができません。消耗品の特殊包装は廃止されましたが「国内で消費する分には免税が使えない」ルール自体は残ります。
④ 消費した分は税関窓口に申し出る
購入した物品の全部または一部を出国前に飲食等した場合は、免税手続をせず、その旨を税関職員の窓口に申し出る必要があります。
⑤ 持ち出さないと追徴+罰則の対象に
税関確認を受けた物品は遅滞なく輸出しなければなりません。輸出しなかった場合、免除された消費税相当額を徴収され、罰則の適用対象になります 。
H2-4. 免税店側の変更点と準備すべきこと
店舗オーナー・店長の方が対応すべき主な変更点は以下の4つです。
- 販売処理:税込(課税)価格で販売し、購入記録を国税庁のシステムへ送信。出国後の税関確認情報を受信して初めて免税売上が成立
- 会計処理:販売時は課税売上として処理し、出国確認後に免税売上へ振り替える仕訳フローの構築が必要
- システム対応:承認送受信事業者の利用可否、自社POS・レジとの接続を確認
- 店頭業務の再設計:消耗品の特殊包装・商品区分けが不要になるため、スタッフの作業負担は軽減される方向
経済産業省は免税店向けに「リファンド方式移行の準備ガイド」を公開しており、チェックリスト形式で対応事項を確認できます 。
H2-5. よくある質問(FAQ)
Q1. 日本人はリファンド方式の対象になりますか? なりません。対象は出国する外国人旅行者等であり、Visit Japan Webのオンライン手続も日本人は利用できません。
Q2. 返金の期限はありますか? 返金を受けるには、購入日から90日以内の出国時に税関の確認を受ける必要があります。90日を過ぎて出国した場合は対象外です。
Q3. 返金手数料はかかりますか? 返金方法(クレジットカード返金・空港での現金返金など)や事業者によって扱いが異なる可能性があります。詳細は免税店・返金事業者にご確認ください(公式ページでも「返金の詳細は免税店等にお問い合わせください」と案内されています)。
Q4. 食品や化粧品も新制度の対象ですか? 対象です。ただし旧制度の「特殊包装」は廃止され、50万円の上限も撤廃されました。その一方で、国内で飲食・使用した分は返金対象外です。
Q5. 2026年10月に旧方式で買った品はどうなりますか? 旧制度(購入時の免税)は2026年10月購入分までの扱いです。10月購入分の品を11月以降に持ち出す場合の扱いなど、移行期間の個別ケースはお問い合わせ先・免税店にご確認ください。
④ まとめ
- 2026年11月1日購入分から、免税制度は「税込購入→出国時に税関確認→消費税相当額を返金」のリファンド方式に変更
- 狙いは転売対策。消耗品の特殊包装・50万円上限は廃止、代わりに90日以内の出国が条件
- 旅行者は「手荷物預け入れ前に手続」「レシート単位で全品所持」「国内消費は返金不可」の3点が最重要
- 店舗側は課税売上→免税売上への会計振替とシステム対応が必須
訪日観光が拡大するなかで、免税手続きをめぐる検索は旅行者・店舗の双方から今後も続きます。本記事は公式情報の更新に合わせて随時改訂していきます。
