大阪府、高校授業料完全無償化へ 来年度から段階的に所得制限撤廃、2026年度に全学年無償目指す
— 吉村洋文(大阪府知事) (@hiroyoshimura) May 9, 2023
→いかなる家庭環境でも子供が何人いても、自分が学びたい学校を選べる社会を目指す。子供が自分の可能性を追求できる社会を目指す。完璧は無理。だが少しでもそこに近づける。 https://t.co/7OfQRaYz7s
高校の授業料の無償化が、東京や大阪で始まることになり、早速大阪では予想していなかった影響が広がっています。
公立は、志願者減少で悲鳴、私立は学費の負担の増加に悲鳴と、どちらも学校側からすると、マイナスの状況が出始めました。
今後無償化が始まる東京も、これらの事例への対応策を考えていかないとなりませんね。
大阪府の公立高校の定員割れした学校が70校に登り、公立も混乱
大阪府知事の吉村知事が選挙から掲げてきた私学無償化が、今月から段階的に適用され、2026年度には高校の授業料が完全無償化となります。
今年、私立高校を第一志望とした人は1万9994人で、前の年よりおよそ1500人増加しました。
私立希望者が全体の3割を占め、過去20年で最多となりました。
一方、公立高校では、一般選抜の志願者数は前の年よりおよそ2000人減少し、3万6379人に。
「一定の傾向は出るだろうと思っていた。(私学に)今まで行けなかったけど、行きたいという子どもたちの選択肢が広がることにつながっていると思う」
これは想定されていたとはいえ、夜間の定時制と通信制を除く公立高校145校のうち、70校で定員割れとなりました。
そうなると今後公立高校の数が大きく減っていく可能性もあるといいます。
私立に人気が移行する理由は、
- 施設設備がきれいだ
- 私学の方が入試日程が早く、早く進路を決めたいという思いを持っている生徒保護者が一定数いる
私立もキャップ制で、レベルの維持が難しくなり混乱
いかなる家庭環境でも子供が何人いても、自分が学びたい学校を選べる社会を目指す。
キャップ制が私立高校に負担を与える
子供にとってはありがたい制度ですが、「キャップ制」というものが導入されています。
キャップ制とは、もともと「上限を設ける」という条件がついています。
国と大阪府が生徒1人あたりの授業料を負担する上限を年間60万円までとして、それ以上の授業料である場合は、その費用は私立高校が負担するというものです。
多くの私立高校の費用は施設整備費を含めて、年間60万円を超えるところが多いため、それぞれの私学が残り分を負担しなければならないわけです。
これが大阪府の授業料無償化です。
大阪府の私学は、生徒1人あたり私学助成金を32万6700円うけとっていますが、国と大阪府の支援の60万円をたすと、32万6700円+60万円=合計92万6700円で生徒1人を教育してくれという意味あいになるそうです。
一方で公立高校の生徒一人あたりの経費は、108万3212円。
つまり私立は公立高校よりも安い金額で生徒一人の教育を賄わなければならない計算になります。
こうなれば、私立は公立よりも安い金額で学校運営をしなければならなくなる。
私立は公立より少ない資金で運営を迫られ、教育の良さが制限される
資金が減ることで、私学ならではの特色ある教育ができなくなるというのです。
そうなると今後、入学金や、私立高校の特色である課外授業、施設費等授業料以外で高額な上乗せをする必要が出てくる。
公立高校を減らさず、整備をして公立高校の質を上げることが重要
現在のままでは、私立に行くメリットが逆に失われてしまうし、授業料以外に施設費などが加算されていくなら、無償化した意味がなくなる。
今必要なのは、定員割れした公立を削るのではなく、公立が私立並みに快適に過ごせるように整備して行くことが求められる。
大阪の授業料無償化に他府県も混乱
キャップ制は、大きいネックになっているのは間違いない。
東京都も授業料無償化には大阪の事例を参考に即対処が必要
東京都は私立を困らせるキャップ制はないもの、私立に人気が偏って公立高校の定員割れなどは当然考えられます。
私立入学の難易度は上がり、受験戦争もますます加速しそうですね。
東京も公立の施設や、教育レベル、内容なども上げていく努力が必要になると思われます。
大阪、東京都も私立に起きる問題点は、私立は県外からの通学者も多くいることです。
その場合、同じ教室の中にいる学生それぞれの授業料格差が出て不公平差が出てしまいます。
近隣県は財政的に完全無償は難しいと表明しているため、近隣県から通う場合は授業料をすべて払うので、無償化した家庭はその分塾や、体験学習にお金を使えるのに、他県から通わせると、その点でも学生が受けれるものに差が生じる可能性があります。
他県から引っ越せばいいか
それなら東京都や大阪府に他県から引っ越せばいいかというと、生活費、家賃などにかかるお金が都や府はかなり高くなるので、他県にいるから引っ越すということは必ずしも得ではない。
日常に生活費がかかる都や府に住む人だから、与えられたサービスぐらいに思っていたほうがいいかもしれない。
まだスタートしたばかりの制度、更にこれから多くの問題と向き合っていかなければならないと思います。