去年、宝塚歌劇団の宙組に所属する女性が、飛び降りて死亡した問題で、歌劇団側が、このたびやっと、パワーハラスメントがあったことを認め、遺族側に伝えました。
2月には、遺族側が申し出た15件中7件のパワハラは認められていますが、まだ残りについては、認められておらず、ヘアアイロンでやけどを追わせた件は、完全否定の状況でした。
1か月たって、3月末になり状況は変わりました。
このたび遺族側が会見し、劇団側と14項目にわたるパワハラの存在を認める合意書を締結し、劇団側が謝罪した事を明らかにしました。
またパワハラに関与した関係者は「少なくとも10人」といわれ、そのうち6人から謝罪文が寄せられました。
遺族側によると、パワハラに関与したのは宙組の幹部上級生4人と、宙組の上級生3人、劇団のプロデューサー2人と演出担当者1人の合計10人。
そのうち遺族側に謝罪文を渡したのは、幹部上級生2人、上級生1人、プロデューサー2人、演出担当者1人の合計6人だという。
また、ヘアアイロンでやけどを負わせた幹部上級生については、劇団側の代理人は、きょうの合意文書締結の場面には間に合わなかったが、今後謝罪文を提出予定だそうです。
宝塚歌劇団宙組の団員が飛び降りた悲劇
2023年9月、宝塚歌劇団の宙組に所属していた劇団員の女性がマンションから転落し死亡した事件の状況から警察は自殺とみて捜査を進めています。
これに対し11月10日、亡くなった団員の遺族の代理人が会見を開き説明をしました。
遺族側から、原因としてパワハラと労働時間オーバーについて責任追及
【遺族の代理人・川人博弁護士】
「約1カ月半、わずか1日3時間程度の睡眠しかとれない状況が続き、加えて、上級生からのパワハラもあり、健康を損ない亡くなった」
遺族側が出したパワハラがあったとする意見書
遺族側は反発し、暴言や叱責(しっせき)など15件のパワハラ行為があったとする意見書を提出していた。
調査結果を受けて遺族側は「パワハラの事実認定と評価は失当」「報告書は再検証すべき」などと話し、女性がへアイロンでやけどを負ったと主張している点について、調査委員会に「やけどされた」「ちゃいろになっている」などとの女性のLINEメッセージを遺族が提出していたにもかかわらず、その内容が調査報告書に含まれていない点も問題であると指摘していました。
意見書の中では、「ヘアアイロンでやけどを負ったこと」「下級生の失敗は全てあんたのせいや」と叱責を受けたことなど15のパワハラ行為があったと指摘しました。
家族からのコメント
劇団が依頼した弁護士による調査報告書には到底納得できません。
宙組の生徒が勇気を出して証言してくださったこと、私たち家族の訴えをまったく認めず、上級生を擁護する歪曲した内容になっています。
しかしながら調査報告書が認定している事実だけでも当該上級生の言動が、パワハラにあたります。
何日も何時間も感情に任せて叱責され、すみませんでしたということしか許されず、泣きながら謝り続けている娘の姿を想像すると憤懣やるかたない思いです。
娘はもう何もいうこともできません。
それを良いことに自分たちに都合のいいように真実をすり替え、娘の尊厳をこれ以上傷つけるのはやめてください。
私たち家族は劇団とパワハラを行った上級生が真実を認め謝罪することを求めます」
2月にはパワハラの一部のみ認めた
今年に入り、遺族側の代理人が2月1日、経過報告を発表した。
遺族側は、Aさんは上級生のパワハラや長時間労働が原因で自殺に至ったと主張しており、死後、昨年11、12月の阪急・歌劇団側と面談。
今年に入り、1月24日に3度目の会合の場を持った。
2月の時点で宝塚歌劇団側は、新たな調査結果としてパワハラを一部認めました。
関係者によると、歌劇団側は、上級生らへの聞き取りなどを進めた結果、15件のうち一部について、行き過ぎた言動があり、パワハラにあたると判断。遺族側にその見解を伝えたという。
遺族側が15件あったと訴えたパワーハラスメント(パワハラ)のうち、7件をそのまま認めたことを明らかにしたが、6件については一部否認、2件については完全に否定しているとして、合意には「相当程度の開きがある。どこまで謝罪するかが、平行線となっている」とした。
2月の段階では、ヘアアイロンでやけどさせた件については、完全否定のままでした。
一方で、他の行為について、遺族側と見解の違いがあるといい、協議を続けてこのたび3月に入り、やっと大方、パワハラを認めました。
3月に入り大方パワハラ認め謝罪
3月末になりやっと劇団側と14項目にわたるパワハラの存在を認める合意書を締結し、劇団側が遺族に謝罪をしたことを明らかにした。
またパワハラに関与した関係者は「少なくとも10人」で、そのうち6人から謝罪文が寄せられたという。
遺族側代理人によると、パワハラに関与したのは
宙組の幹部上級生4人
宙組の上級生3人
劇団のプロデューサー2人
演出担当者1人
の合計10人。
そのうち遺族側に謝罪文を渡したのは、
幹部上級生2人、上級生1人、プロデューサー2人、演出担当者1人の合計6人だという。
また、額にやけどを負わせた幹部上級生については、きょうの合意文書締結の場面には間に合わなかったが、今後謝罪文を提出予定だということだ。
元タカラジェンヌ複数からの過去にあった具体的ないじめ内容
すでに退団した人の経験談では・・
お風呂の設備があっても入る時間が与えられない、洗濯の設備があっても上級生から使うことを禁じられるなどのおかしなルールに従わされる日々。
誰かが(外部に)言うと連帯責任になってしまうのでますます言えない。外部漏らしは絶対にダメだということを叩き込まれるんです。
(数年前に退団した元劇団員の母親)
「上級生が言うことには絶対。嫌でも『はい』って言わないとダメです。
私はもっとひどいことやられたから、これくらいで許してあげようっていう感じじゃないですか。(パワハラは)宝塚の世界では『指導』なんですよ」
「指導はパワハラを越えるものが数々ありました」
「お手洗いも食事も許されないのが日常でした」
「今思えばあれは虐待だったと感じます」
「後輩に厳しい指導はやめようと試みました。しかし学校関係者に…指導を強制されました」
以下東小雪さんの話
音響のためのミニディスク(MD)づくりなど夜通しで本科生のために準備するなど、小道具づくりはじめ、雑用も多くとにかく寝られない。「3時間睡眠」でも良いほうで、バレエのレッスンで予科生が歩きながら寝てしまったことなども美談として語られてきたが、理不尽さに耐えられなくなり、私は予科生時代に一度脱走した。食事も取れず、実家から送られて来たレトルトのおかゆを電子レンジで温めもせず吸ったり、食パンをちぎって仲間と食べたりしていた。
上級生の言うことは絶対。説教されたら「すみませんでした! すみませんでした!」と謝り続けるしかない。
寝られず、過呼吸になって泣きながら謝る予科生もいた。
ストレスで生理が止まらないと、「楽をしてる」と避難される
上級生の指導は「締め」や「セレモニー」「ドーナツ」などと呼ばれ、1人を真ん中に置いて囲み罵声を浴びせる。
1年間を通じて毎日ずっと「反省」と称し、寮のお話し合いの部屋に軟禁状態に置かれた。
本当に夜通しで、自室に戻らず、その部屋から登校するような状態は前期と夏休み明けがひどかった。本科生に怒られると、反省の意を示すため廊下をひたすらぐるぐる歩き続けていた。
10代の生徒の中には生理が止まってしまう人もたくさんいた。
生理が止まっていない予科生は「楽をしている」と同期の中で非難されたりもした。
学校側が、いじめの側に立っている
構造的なパワハラやいじめの体質や体制に向き合わず、何を改革するというのか。
命を絶った女性の側に立つのではなく、いじめた側に立とうとしているようにも見える。
女性が配役の権限を持つプロデューサーにいじめを告白したのもかなりの覚悟だったはずだが、演出家たちは問題の解決を上級生任せにした。その結果、上級生が「お話し会」の場で女性を血祭りに上げたのだろう。「みんなの前で話したくない」と言った女性がどんな気持ちだったか。
プロデューサーや演出家たちは、女性をきちんと守らなかった。
集団で1人を問い詰めることと芸事とは別なはず
集団の前で1人を問い詰めることは、音楽学校の時から日常的にあった。
自分の初舞台の稽古で、スタッフがいる稽古場で同期生が隊列の一歩前に出され、「でぶ!」「もっと痩せろ!」と詰められていたのが脳裏に焼き付いている。
宝塚では、厳しい指導とパワハラが一緒になっていた。
公演の最中、衣装縫い針を入れられていたこともあった。
ヘアアイロンでやけどさせられたことを家族に話していた。
亡くなったのは有愛きいさんと言われています。
直後の公演からずっと欠席という札が立っていたなどの理由からそう言われます。
ヘアアイロンでやけどをさせられたおでこ。
成績が一番同期でも良かったためターゲットにされたという噂も。
日常的に厳しい指導にあっていました。
やけどさせられたことを家族に話したライン。
いじめの主犯格と言われている人物は?
今回、いじめ体質の根源になったといわれるMさんですが、がカリスマ性のあるスターだったのは事実。
日常的に周囲からおだてられ、自分を見失ったのだろうと言われます。
「彼女を慕っていた下級生には優しいんですが、ちょっと気に入らないと当たりが強くなります。取り巻きも圧力をかけますから、ターゲットには逃げ場がありません。表情や体形にまで理不尽な難癖をつけるんですから、精神が壊れてしまうのも当然でしょう。
Mさんが今年6月に退団し、代わりにトップスターに就任したのがSさんで、今回の直接の原因と言われている。
だが、同情の声も上がっている。
このいじめの仕組みは、6月に退団したMさんの指導から始まっていたからです。
「一部ではSさんがパワハラの“主犯格”とされていますが、Mさんの長期政権下では、Sさんも“指導”を受けていました。
AさんをヘアアイロンでヤケドさせたとされるAさんも、かつてはMさんの被害者だったのです。
「以前から、退団前の真風さんやほかの上級生から“指導”を受けて泣いていて、疲れた顔をするようになりました。もちろんAさんにしたとされる行為は許されないものですが、彼女も悪い“伝統”を受け継いでしまったのかも」
そのような声も上がっています。
まとめ
今回、直接的な加害者はMさんから始まっているということですが、20年前の先輩からも、宝塚の上下関係の異常さは告白されており、代々受け継がれた悪い習慣。
さらに宝塚側が、厳しい指導の肩をもって来たことも問題でした。
今後、同じようなことが繰り返さないようにするには、宝塚側の大きな改革が必要となると思います。
これをきっかけに、やっと、この状況がおかしいことが世間にも知れ渡り、疑問を投げかけられ、宝塚側も、見直しのきかっけが訪れたのかもしれません。
もうこのような悲劇がなくなるよう、今回のことはうやむやにせず、せめて後輩の団員の未来が希望であふれるものになるきっかけになることを願いします。